「那須雪崩事故」はなぜ起きたのか

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「那須雪崩事故」はなぜ起きたのか

2017年3月27日朝、茶臼岳で雪崩が発生し、登山講習会に参加していた県立大田原高校の山岳部員の高校生7人と教諭1人が死亡し、40人が重軽傷を負った那須雪崩事故は、発生から6年。昨年10月には引率教諭らの刑事裁判が始まっている。

この事故は、なぜ起きたのか?この様な事故を2度と起こさないために、「教訓とすべきことは何か」について考察した。

事故に巻き込まれたが、雪崩に遭って1人助かった高校生は、2年後に事項を振り返り、「あの日は、訓練計画が朝に突然変更され、引率教諭に従って何となく雪の中を進み、雪崩に巻き込まれた。」と話している。彼はこの事故を教訓に、「山では自分で判断することが大事」ということを、後輩に教えてきた。後輩には計画を立てる段階から参加してもらい、登山中には「今いる場所は?」と、繰り返し尋ねては全員で地図に印をつけ、安全な登山を徹底したという。

以上の発言から分かることは、引率教諭らの指導に問題があったと思われる。登山訓練の当日朝の天候が悪く中止の決定をしていたのに、説明なしに突然訓練実行に変更した判断の甘さがあった。言い換えると、引率教諭らの登山訓練の安全に対する危険予知とリスク管理の欠如が悲劇を起こしたのである。

如何に危険予知とリスク管理が重要であるかを示唆する教訓である。危険予知とリスク管理については、次回話したい。

掲載日:2023年06月20日