知床事故安全委員会経過報告書からの読み取る教訓
2022年12月15日付けで知床事故安全委員会経過報告書が公表された。
【要因】
- 直接的要因は、ハッチの蓋を固定する部分が摩耗し、揺れで開いたハッチから、高波で海水が流入したため。
- 船首のハッチ(約50㎝四方)は、四隅の留め具で蓋を固定する部分のうち2か所が摩耗し、きちんと留まらない状態で、高波による船体の揺れでハッチが開き、海水が流れ込んだ可能性がある。
- 甲板下の各区画が浸水を防ぐ「水密構造」ではなかったことも要因。
- 前方の二つの区画は「船倉」で、3区画目にエンジンがある「機関室」、最後部は舵を動かす機械がある「舵機室」。
- 各区画を仕切る隔壁3枚全てに穴があった。一部は板でふさがれていたが、水圧で押し開けられたような痕跡あり。
- 浸水が船首側の船倉で止まれば、船は浮力を失わず、沈没しなかったと試算。
【教訓】
船首のハッチがキチンと閉まっていれば、この事故は起きなかった。つまり、留め具の摩耗に気付き修理していればこのような事故は起きなかったということだ。したがって、教訓は下記の3点である。
・点検手入れの重要性→不具合箇所の発見し、補修し、機能を維持する。
・点検マニュアルの必要性→人が変わっても継承できる。無いと継承出来ない。
・安全教育の必要性→安全航行に関する教育・訓練を定期的に実施する。
掲載日:2023年01月25日